エーテルがあると仮定して地球が速度vで動く場合、vが測定に影響するかどうかを考察してみます。波の速度を計るとはどういうことかを原点に戻って考えてみましょう。
波の速度を計る方法として
1.直接速度を計る
2.振動数と波長を計りその掛けた値を速度とする。
の2種類が考えられます。それぞれの具体的方法を考えてみましょう。
1.直接速度を計る場合
海の波の頂点にサーファーがのっている場合をイメージします。
ある地点で観測者がサーファーの位置と時間を確認できたとします。その後すぐにサーファーを追っかけ、ある地点での位置と時間を記録できたとします。もし波の進行速度が早すぎて追いつかない場合は別の人にたのんで記録してもらうことになるでしょう。その二つのデータから時間差と距離を割り出せば速度がでます。もっとも原始的方法
すが、波の速度が光のように早い場合や波長か短い場合は計測が難しいのはいうまでもありません。原理上ある程度の精度を満足させる最初の地上実験はJ.L.フーコーの回転鏡を使用した実験でしょう。
これは光を往復運動させる途中に高速回転する鏡を置くと回転鏡で反射された光が反射鏡で再度反射して回転鏡に戻ってくる時間に回転鏡の角度が変わるのでハーフミラーに戻る角度が変わるという原理によるものです。スクリーンに写る点の位置が移動するのでその移動量から光の速度が逆算できます。理論的には明快なすぐれた計測法だと思います。ところでこの方法で測れる速度とは何に対する速度でしょうか。光がエーテルを進む速度cでしょうか。それとも計測機がエーテル内を移動する速度vを計算にいれた相対速度でしょうか。
この場合、光が往復運動をしていることから、観測機の移動速度vという変動因子は消えずに残りますが、それが観測できる程の往復距離を確保できるなら理屈上は観測できることになります。
.2.振動数と波長を計りその掛けた値を速度とする場合
振動数の計測は1点で計測できます。一定時間の通過する波の山または谷の個数を数えればよいわけで電子的な方法で比較的簡単に計測できるようです。
それでは波長はどう計測すればよいでしょうか。波が媒体を進む速度が予め判っていればそれを振動数でわれば簡単ですが速度が判らなければ波長自体を直接計測しなければなりません。波がゆっくり進行しその波長も長ければなんとか直接計測できるかもしれませんが、それでも動く山の1点を誤差少なく計測するのはかなり難しいと思います。
もしエーテルに対して光源も観測者も静止していれば、振動数にその波長を乗ずることにより、エーテルにおける光の速度は算出可能です。その時の波長をλ、振動数をnとするとc=nλなる式で表せるのは言うまでもありません。もし観測者がエーテルに対して静止し光源が観測者に向かって速度vで移動していたなら、ドップラー効果により振動数n1はn1=nc/(c-v)となります。光源は静止し観測者が光源から速度vで離れていくなら振動数n2はn=n(cーv)/cとなります。
もし光源と観測者の間に速度差はなくそれぞれがエーテルに対して速度vで移動しているならば、その時観測者が受ける振動数n3はnと等しくなります。すなわち地上で光源と観測者を固定させた場合は地球がエーテルに対してどう移動しようとも振動数は一定になります。つまり振動数nという光の固有振動数はドップラー効果による影響を受けずに地上でも観測できるということを意味します。
それでは波長の変化はどうなるでしょう。もし上記の直接波長を実測するような方法があっても波長の長さは変わらないでしょう。エーテルに対して光源が速度vで動くと進行する波の波長は短くなります。その波長λ1はλ1=λ(c-v)/cとなりますが、それを受け取る観測者も速度vで動くので結局振動数の場合と同じで観測される波長は本来の波長λと同じになってしまいます。つまり速度vという変数が波長を現す関数からキャンセルされてしまうのです。そうするとあるタイミングで周波数がn、波長がオッシログラフ等(実際には光の波長が長すぎて直接は測れない)でλと計測されるのでとそれを掛け合わせてもいつも速度はcで一定になります。
2つの経路の光を混合してそのビートを計測する方法は何種類か考えられますが、大抵はvがキャンセルされてしまい光のエーテルに対する速度だけしか算出されません。元の光線とその光線を往復運動させ混合させるとそのビートはvによる因子を含みますのその変動を計測さえできればvを算出できるかもしれません。ただしその変動値はM.M実験の変動値よりはるかに小さい値となるでしょう。以上思いつきを掲載しておきます。
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