表題のマイケルソン.モーレーの問題と解決について興味を持たれた方へ
詳細はここ(電子ブックのH.P)をクリックしてください。(http://www.digbook.jp/product_info.php/products_id/13510)

2014年8月2日土曜日

番外編4 余談

本質的な問題ではありませんがいろいろ本を調べた中で下記の記述に疑問がありますので余談ですが書いておきます。
「光入門」大坪順次 著 コロナ社 
4.3 マイケルソン干渉計 より
「・・・・・に示すマイケルソン干渉計では、光源(彼らが実験を行ったころは電球が使えた!実際にはアルゴンランプが使われた)・・・・・」
と書かれていますが、アルガン灯のまちがいではないかと思います。
「歴史をかえた物理実験」 霜田光一著 丸善(株)の118頁に
「アルガン灯という丸芯のランプのことと思われる。」と書かれています。
ちなみにアルゴンはギリシャ語で不活性、アルガンは人の名前で、アルゴン電球とアルガンランプは別のものです。                              以上

2014年7月30日水曜日

番外編3. 窪田理論批判その5


番外編3. 窪田理論批判その4




        
                    その3に戻る                  その5に続く

番外編3. 窪田理論批判その3




 その2に戻る  その4に進む       

番外編3. 窪田理論批判その2
























            
              
その1に戻る       その3に続く

          


番外編3. 窪田理論批判その1

以下数式を見やすいように画像貼り付けで掲載しています。そのため一部行間が空いていますがご容赦ください。また「」内は批判のために元の本から引用した部分です。私の主張ではありません。








                 その2に続く               

番外編2 黒い筒という考え方について

「相対論の正しい間違え方」パリティ編集委員会編 (大槻義彦責任編集)松田卓也.木下篤哉 著丸善㈱
と いう非常に権威あるシリーズの中の一冊に光の曲がり方に関して、黒い筒という概念がでてきます。これはM.M実験ではあらかじめ干渉計が前方に移動する方 向に光源を調整しなければならない、という考え方、恐らく窪田氏(「相対性理論は間違っていた」の著者)の考え方に対する反論でしょう。なお窪田氏の考え 方は、古典論そのままで光源をでた光はそのまま真っすぐ進むという考え方でした。干渉している光は予め曲がった方向に調整された光線であった、という考え 方であったと思います。

黒い筒の考え方を要約すると、

1.黒い筒が移動した場合、外に抜け出る光と壁に吸収される光線があるから光源を調整する必要はない。(図参照)

2.この例えはレーザー光線にもあてはまる。

3.原理は望遠鏡のちょうど反対であるから、接眼レンズからの光が平行に出て行くことになる。

4. 黒い筒がなくてもシンクロトン光のように電子から出た光が曲がる。
とされています。
1.と2.は光が曲がるというよりも光束の縁(エッジ)の移動変化の問題 であり、筒に吸収されずうまく外に出た光が、光源から出る瞬間ボールのように曲がったのか、それとも最初から放射状の光線の一部すなわちある方向に向いた 光が外に出ることができたのかの判別はできません。したがって上記1及び2は光が進行方向に曲がることの何の説明にもなっていません。窪田氏の考え方を批 判するために使用されたようなのですが、例としては不適切だと思います。光が曲がるという概念をうまく説明するには3.のレンズの機能だけで十分なはずで す。なぜなら点光源に近い光源がレンズに入る前にレンズ自体が、移動によりずれると、レンズを出た光はレンズのずれる方向に曲がるのは光学で証明されてい るからです。そういう意味で窪田氏の、予め光源の方向を調整しているという考え方も、レンズの特性を無視した意味のない論です。さらに4.のように、「シ ンクロトン光に関して光がエーテルの波であるとするならば、その光の”波紋の広がり方”は光源の運動には無関係なはずであると批判者が主張しているがこの 主張が間違いであることが実際に実験で確かめられている。」としてシンクロトン光の例をあげられている。文面通り解釈すると、光源の動きが光の進行方向に 影響する、すなわち光がボールのように光源の進行方向に方向を変えることになります。それともシンクロトン光もレーザー光線のように何らかの電磁的な壁の ようなものが存在して黒い筒のように変化するのでしょうか。もしここで光がボールのようにふるまうように主張すると大きな問題が発生します。光線が本当に ボールのように曲がるなら、その曲がった光線が凸レンズで再び曲るということになり、その二重に曲がる光線でさえもM.M実験の干渉縞は移動しないという ことを理論で証明しなければなりません。特殊相対性理論でそれが証明できるのでしょうか。このようにややこしい議論が出てくるのは光線をいきなり線そのも の(ビーム)として考えるからです。実際の光は、放射状に拡散する光束をレンズで調整しビーム状の束にしたものです。もし光源が凸レンズの焦点にあれば、 平行光線となります。光源から出た光線群の内、節点を通るものの進行方向はレンズを通過してもかわりません。それ以外の光線はすべて方向が変わり、すべて 節点を通る光線に並行になり、結果的に平行光線となるのです。観測機が移動すると、光源から出た光がレンズに到着する前レンズが移動してしまい、結果的に 平行光線の方向が変わってしまうのです。(図参照)
こ の実験においては、これだけで十分説明できるのです。それでは上記のような、光はまっすぐ進行するとか、ボールのように曲がるという議論に意味はあるので しょうか。少なくこの実験において議論する意味はありません。なぜならもし、光は光源の移動に関係なくまっすぐ進行するなら、移動したレンズの接点を通る のは予めその方向を向いていた光線となり、逆にボールのように曲がったら、元の光線がやはり方向を変え、移動した節点を通るため、どちらも同じように曲 がった平行光線となります。そしてどちらの位相も変わらないので区別ができないのです。私は光がシンクロトン光で主張されるように曲がるのか、光源の移動 に影響されないのかはわかりません。どちらにせよこの実験で使用されている計算の式は全く問題がないのです。  
                                                                            以上


番外編1 光速度が一定になる理由


エーテルがあると仮定して地球が速度vで動く場合、vが測定に影響するかどうかを考察してみます。波の速度を計るとはどういうことかを原点に戻って考えてみましょう。
波の速度を計る方法として
1.直接速度を計る
2.振動数と波長を計りその掛けた値を速度とする。
2種類が考えられます。それぞれの具体的方法を考えてみましょう。

1.直接速度を計る場合
海の波の頂点にサーファーがのっている場合をイメージします。
ある地点で観測者がサーファーの位置と時間を確認できたとします。その後すぐにサーファーを追っかけ、ある地点での位置と時間を記録できたとします。もし波の進行速度が早すぎて追いつかない場合は別の人にたのんで記録してもらうことになるでしょう。その二つのデータから時間差と距離を割り出せば速度がでます。もっとも原始的方法
すが、波の速度が光のように早い場合や波長か短い場合は計測が難しいのはいうまでもありません。原理上ある程度の精度を満足させる最初の地上実験はJ.L.フーコーの回転鏡を使用した実験でしょう。
これは光を往復運動させる途中に高速回転する鏡を置くと回転鏡で反射された光が反射鏡で再度反射して回転鏡に戻ってくる時間に回転鏡の角度が変わるのでハーフミラーに戻る角度が変わるという原理によるものです。スクリーンに写る点の位置が移動するのでその移動量から光の速度が逆算できます。理論的には明快なすぐれた計測法だと思います。ところでこの方法で測れる速度とは何に対する速度でしょうか。光がエーテルを進む速度cでしょうか。それとも計測機がエーテル内を移動する速度vを計算にいれた相対速度でしょうか。
この場合、光が往復運動をしていることから、観測機の移動速度vという変動因子は消えずに残りますが、それが観測できる程の往復距離を確保できるなら理屈上は観測できることになります。

.2.振動数と波長を計りその掛けた値を速度とする場合
振動数の計測は1点で計測できます。一定時間の通過する波の山または谷の個数を数えればよいわけで電子的な方法で比較的簡単に計測できるようです。
それでは波長はどう計測すればよいでしょうか。波が媒体を進む速度が予め判っていればそれを振動数でわれば簡単ですが速度が判らなければ波長自体を直接計測しなければなりません。波がゆっくり進行しその波長も長ければなんとか直接計測できるかもしれませんが、それでも動く山の1点を誤差少なく計測するのはかなり難しいと思います。
もしエーテルに対して光源も観測者も静止していれば、振動数にその波長を乗ずることにより、エーテルにおける光の速度は算出可能です。その時の波長をλ、振動数をnとするとc=nλなる式で表せるのは言うまでもありません。もし観測者がエーテルに対して静止し光源が観測者に向かって速度vで移動していたなら、ドップラー効果により振動数n1n1=nc/(c-v)となります。光源は静止し観測者が光源から速度vで離れていくなら振動数nn=n(cーv)/cとなります。
もし光源と観測者の間に速度差はなくそれぞれがエーテルに対して速度vで移動しているならば、その時観測者が受ける振動数n3nと等しくなります。すなわち地上で光源と観測者を固定させた場合は地球がエーテルに対してどう移動しようとも振動数は一定になります。つまり振動数nという光の固有振動数はドップラー効果による影響を受けずに地上でも観測できるということを意味します。
それでは波長の変化はどうなるでしょう。もし上記の直接波長を実測するような方法があっても波長の長さは変わらないでしょう。エーテルに対して光源が速度vで動くと進行する波の波長は短くなります。その波長λ1λ1=λ(c-v)/cとなりますが、それを受け取る観測者も速度vで動くので結局振動数の場合と同じで観測される波長は本来の波長λと同じになってしまいます。つまり速度vという変数が波長を現す関数からキャンセルされてしまうのです。そうするとあるタイミングで周波数がn、波長がオッシログラフ等(実際には光の波長が長すぎて直接は測れない)でλと計測されるのでとそれを掛け合わせてもいつも速度はcで一定になります。
2つの経路の光を混合してそのビートを計測する方法は何種類か考えられますが、大抵はvがキャンセルされてしまい光のエーテルに対する速度だけしか算出されません。元の光線とその光線を往復運動させ混合させるとそのビートはvによる因子を含みますのその変動を計測さえできればvを算出できるかもしれません。ただしその変動値はM.M実験の変動値よりはるかに小さい値となるでしょう。
以上思いつきを掲載しておきます。

2014年7月17日木曜日

まとめ6.の解説

観測装置が90°方向に動いている場合、光源を出た光がレンズに到着するまでにレンズは図のように90°方向に移動します。そのため節点も移動するのでその点を通る中心線がこの光のの中心軸となります。要するに光が曲がっているように見えます。実際にはボールのように光が曲がるのではなくレンズの移動により節点を通る光線が中心線として選択されているのです。
この場合B.Sを通る光線はSinθ=c/vとなる角度で曲がっているように見えるのでM,M実験の前提は正しいことになります。
しかしB.Sで90°方向に反射する光は、まとめ5と同じようにホイヘンスの原理で計算するとほぼ90°方向に反射します。あくまで実験に支障のない近似にすぎません。
光がボールのように曲がったりするのではなくレンズの節点のずれによることで説明できます。
                                   以上

2014年7月9日水曜日

まとめ5.の解説


かって光はボールのように光源の進行方向に曲がる、いや発射された方向にまっすぐ飛んでいくという論争がありました。相対性理論の解説書によくでるM.M実験ではB/Sで反射してM2に向かう光はSinθ=c/vなる角度θで傾くとされています。これはなにを根拠としているのでしょうか。光をボールのような物質と考えればこの角度は理解できますが、当時光は波動と考えられていましたから波の反射から導き出すのが本筋でしょう。
光の反射の計算ではホイヘンスの原理を使用することができます。この場合移動するB.Sで反射する光線がどのように角度で反射するかを計算するわけです。



ホイヘンスの原理において光線の波面を構成する最小の波を要素波とします。(詳細は教科書、ウエブサイトを参考にしてください。)
直径d(微小)の平行光線を考えます。この光線の下縁(一番下側)がB.Sに達した時そこから最初の要素波が速度cで発生します。さらに上縁(下縁から上にd離れた部分)がt秒後にB.Sで反射すると考えると、その時間tはB.Sが静止している場合より少し遅れます。そしてその時間に上縁からの要素波が発生し始めます。その時下縁から発生した要素波は図の半径ctの円を描いています。B.Sが静止状態であればctはちょうど半径dになるはずでしたがtが少し大きな値のため要素波の波面は上縁を越えます。したがってB.Sで反射した波の面は少し傾きます。
この傾きがSinθ=c/vになるのかを検証するのがこの項の目的です。
図の(x.y)を求めそれから角きを算出することができます。必要な条件は図に書いてある通りです。
式の過程は結構面倒なので結果だけ書きます。詳細を知りたい方は筆者の本を見てください。

Tanθ=v(2c-v)/2c(c-v) となります。

Sinθ=c/vは書き換えると
Tanθ=v/root(c~2-v~2 )ですからまったく違う式となります。
この観測装置の規模程度では両方の式で算出した値には観測精度上問題になるほどの差はでません。
しかしあくまでSinθ=c/vは近似であることは認識すべきでしょう。むしろこの式が光がボールのように曲がることを連想させる意味では有害かもしれません。

右図のように月面上で太陽のある位置を地球のB.S経由で観測すると両式ではvが30km/sでも11mものずれが生じます。けっして大きくない差です。













なおTanθ=v(2c-v)/2c(c-v)の式は次の考え方でも算出できます。すなわち観測装置が移動していない状況で光線の下縁がB.Sと交わる点と上縁がB.Sと交わる点を結ぶ線上に傾いた仮想のB.Sで光が反射した場合する場合です。



まとめ4.の解説その2

1次波は2ルート、2次波は4ルート存在します。
それぞれのルートの距離は右図より
1次波:
A+2L1+B
A+2L2+B

2次波:
3A+4L1+B
A+4L2+3B
3A+2(L1+L2)+B
A+2(L1+L2)+3B

となります。
これらを分析するのはたいそうに見えますが、観測視野内で優先的に見えるのは、もっとも強い光線同士の干渉縞でありさらに曲率半径においてもっとも差のある光線同士の干渉縞となります。そうすると1次波と2次波それぞれの合成波同士のそれが対象となります。
さらに今回は1波長よりはるかに小さい位相のずれを観測するので、分析にあたっては上記の式の各ルートから1波長の整数倍の長さは除去できます。またその残った1波長以下の値の加重平均が合成波の1波長以下部分の波の長さとなります。それぞれの経路の1波長以下部分の波の長さをΔであらわすと、

1次波のルート:
ΔA+2ΔL1+ΔB
ΔA+2ΔL2+ΔB

2次波のルート:
3ΔA+4ΔL1+ΔB
ΔA+4ΔL2+3ΔB
3ΔA+2ΔL1+2ΔL2+ΔB
ΔA+2ΔL1+2ΔL2+3ΔB
となりますので

1次波の加重平均:

ΔA+ΔL1ΔL2+ΔB

2次波の加重平均: 
2ΔA+2(ΔL1ΔL2)+2ΔB

となり、これらの値の変化が干渉縞の移動につながります。ただしA、Bの部分の変化は今回の観測の対象外であるのは明らかです。
M.M実験の目的は0°及び90°の方向に観測装置を方向転換することにより光の経路L1、L2の伸長を干渉縞の動きとして観測することでした。そしてこの二方向それぞれへの光の経路の伸長率では、観測装置の方向が変わると互いに入れ替わるのが特徴です。すなわち0°に観測装置が移動する場合のLIの経路の伸びをΔ、L2の経路の伸びをΔとすると90°に観測装置が移動した場合ではLIの経路の伸びはΔ、L2の経路の伸びはΔでそれぞれの値が変わるわけではありません。
再度上記の加重平均を見ると両方に項(ΔL1ΔL2)が含まれています。観測装置が一定速度で動いている場合0°と90°の間の方向転換だけではこの値も変わることはありません。式で表してみましょう。
0°方向   ΔL1ΔL1Δ1 、ΔL2ΔL2Δ2  であるから
(ΔL1ΔL2)ΔL1ΔΔL2Δ


90°方向   ΔL1ΔL1Δ2 、ΔL2ΔL2Δ1  であるから
(ΔL1ΔL2)ΔL1ΔΔL2Δ1
で値はまったく変わりません。すなわち方向転換では干渉縞は動かないことになります。

45°方向も計算すると値は変わりません。
以上マイケルソンとモーレーは縞が移動しない方向だけを観測し、移動しないと騒いでいたことになります。
なお全方向でこの値が変化しないわけではありませんがその変化は元の予想に対してはるかに小さい値となるでしょう。

                                  以上




















まとめ4.の解説その1

言葉を定義しておきます。
1次波:B.Sで分離され各反鏡で1度反射して再度統合される光をこう名付けます。すなわちこの実験で想定された光線そのものです。2次波:1次波の一部は再度B.Sを透過して光源側または観測側の凸レンズで一度だけ反射して再度1次波と同じ行程を繰り返し最終的にB.Sで集約されます。これを2次波と名付けておきます。

2次波の特徴 
2次反射する面はレンズの曲面部分であると仮定します。2次反射する光線はその面で方向が変化します。1次反射の光線に対し、そのレンズの焦点距離sの半分s/2に光源があるような光線に変化します。さらにこの光線は2回往復しているので、その仮想光源は遠く離れた点に位置します。右図のようなイメージになります。つまり2次波は1次波と違う曲率半径持ち、むしろ平面波に近くなります。
こう書くとニュートンリングを思い出される人もおられるでしょう。 ニュートンリングでは光源同士に距離がなくても曲率半径の違う2種類の光線が中心付近にかたまって環をつくります。
前項までの指摘で等傾角干渉では仮想光源同士に数センチ以上の距離がなければ中心付近で環が見えないことを示しました。もし 1次波と2次波の干渉があり得るなら上記の問題は解消されることになります。さらに3.で述べた0°方向へ移動する場合の基準点のずれの問題も仮想光源同士の距離自体が精度上無視できるほど縮まるので解決できます。
そうなると本来の実験の目的である0°方向と90°方向での縞のずれがこの干渉縞で動かないことが証明できればかなり有力なM.M実験への反論となり得ます。
次の項で干渉縞が動かないことを証明します。

まとめ4.の解説その2に続く


2014年7月5日土曜日

まとめ3.の解説

観測装置が0°方向(図の右方向)に移動すると考えます。すると光はSinθがv/cとなるθで傾くとされています。
これが正しいかどうかは後の項で述べます。筆者の考えでは近似値として正しいという結論になります。
ここでは元の実験の考え方を踏襲します。
この実験の優れた点は観測装置が移動しても 観測の基準が担保されることでした。具体的に書くと次のようになります、
2本のルートを通った光線はB.Sで再び集約され干渉しレンズを通すことにより縞として見えます。もしB.Sを出た光がレンズに到着する前にレンズが動くと観測の基準が動いてしまうことになり正確な縞位置の観測などできないことになります。これを防ぐには観測装置の移動に応じて感触の基準がずれないように光線をレンズの移動方向に傾けなければなりません。たまたま先に述べたように光がほぼSinθがv/cとなるθで傾くので自動的に観測の基準が調整されるのです。しかしこれはアームの長さが全く同じ場合にだけ成り立ちます。理由は
1.アームの長さが違うと等傾角干渉が発生する。
2.その結果光線の傾きにより基準となる点の明るさが変化してしまうので全ての縞が移動する。
です。
結局基準は右図でCosθ=1となるθですからθ=0°の方向すなわち観測装置が移動していない場合の基準位置となります。
もし観測装置の移動速度の速度が30km/mならv/c=30/300000=1/10000で一見観測精度上問題ないように見えます。しかしアームの長さの差がこの精度に影響を与えます。
2つの場合に分けて考えます。

1.
2つの反射鏡が直角でB.Sは45°に傾いている場合(すなわち理想状態)
この場合はアームの長さを相当長くしないと環が見えないの前に書いた通りです。
仮に2dを0.03mすなわち光の波長の5×10の4乗個とします。光線の傾きによる位相の変化は
2d(1ーCosθ)ですから0.03m×(5×10の-9乗)=1.5×10の-10乗mとなります。
光の波長は6×10の-7乗mですから1波長の2.5×10の-4乗分の狂いが生じます。
最初の実験では1波長の1/100の動きを想定したので観測は可能な範囲ではあります。
 v/cの変化に対して2d(1ーCosθ)の変化が小さいのはCosθの変化はθが0°付近では鈍いことが理由です。

2.M2の反射鏡が傾いている場合
この場合先に書いたようにアームの長さに差がなくても縦縞が見えます。
 観測装置が0°方向に進行すると仮想光源1と2とを結ぶ距離dの線分も傾くため仮想光源1と2の間に等傾角干渉に影響を及ぼす位相のずれが発生します。
その値ΔはΔ≒dSinα(ただしSinα≒v/c)となります。
 1と同じ条件の場合Sinαは1/10000ですから一見観測の精度に影響はないように見えます。しかしdが例えば1波長の100個分とするとΔは1波長の1/100に該当することになります。当初の観測目的であった縞の移動は1波長の1/100ですからこの目的の縞の移動は正確には観測できないことになります。

以上から理想状態ではアームの長さの差をかなり大きくしなければならないだけでなく、アームの長さを変えずに縦縞を観測する場合でも別の大きな問題の発生が予想されるのに実際の実験ではそれが考慮されていないことになります。
そして本当の問題はこれらを含めた予想される縞の動きが全くないことであります。
この解決方法を次の項で述べます。






2014年7月1日火曜日

まとめ2.の解説


反射鏡M2をβ/2傾けるとM2を反射した光線の中心軸はβ傾きます。
前回と同様折り紙の折り目で戻すように図を書くとその傾きによりM2を反射した光線の仮想光源の位置がずれます。その結果,
もし2本のアームの長さに差がなくても2個の仮想光源の間に見掛け上の距離が発生します。 M2の傾きが十分であると図のように等傾角干渉が発生し、dTanβが縞の数を決定するでしょう。
ただしこの場合は干渉環ではなく縦縞に近い形になるはずです。
これで一見前回の問題が解決するように見えます。 しかし実際の実験では当初縦縞が見えるとの予想に反して環が観測されたらしい。
アームの差が僅かなら鏡の角度変化により縦縞は見えても環は見えないはずです。この証言は不可解ですが決定的な 反論としては少し弱いです。しかし解決へのヒントにはなります。(まとめ4.)
さらに等傾角干渉は次(まとめ3.)の重大な問題を引き起こします。

2014年6月28日土曜日

まとめ1.の解説


まとめ1.の解説
観測された多数の円環状の縞模様は等傾角干渉によると言われています。この実験機器では45°に傾いたB.S(ビー ム.スプリッター)で一本の放射状の光線を二本に分割し二つの反射鏡経由で再び一本に合流させています。光線が何度も折れ曲がりイメージしにくいので、折り紙の 折れ線部分を元に戻すようにすると、右図のように典型的な等傾角干渉の形になります。
アーム長の差の2倍(2d)の距離がある光源が半波長の場合にもっとも強く干渉することになります。
アーム長の差を徐々に長くしていくと、中心から環が湧き出すように拡がっていき、2dcosΘが光の半波長の整数倍になる距離でちょうど縞が見えます。
 

アームの長さの差dが半波長 λ/2である場合を考えて見ましょう。
2dが光の波長の半分(λ/2)になると中心軸の方向1で凸レンズを通して観測すると中心軸の方向でもっとも明るくなりますが、この周辺はぼんやりと広がっており、観測には不向きです。次の干渉環はθが90°の方向2ですからこれも見えません。
3番目の干渉環は2dが1波長に該当する場合に方向3で発生します。Cosθが1,1/2,0すなわちθが0°、60°、90°の方向で干渉縞が発生するので、これも図の方向1からではよほど大きなレンズを使用しない限り見えません。


2dが3λ/2の場合、Cosθが1,2/3,1/2,0となるθ、すなわち0°,48°,60°,90°で干渉環が発生します。この場合も観測用レンズ視野には入りません。
上記のように2dが増加するにつれて環も増加し、新しい環は中心軸に近い側に位置することになります。またその環は2dがある程度大きくないと観測視野内での観測ができません。
ではどれくらいの2dが必要か計算してみましょ
もし2dがnλに該当すると一番中心軸に近い環はCosθが(2n-1)/2nとなるθが作る干渉環となります。



実際に使用されたレンズの口径は不明ですが、最初の実験ではアームの長さは1.2mでした。 レンズの口径は不明ですが仮に0.02mとするとSinθは半径/光行路の長さですから、0.01/2.4であり、 cosθは0.9999913となります。中心軸に一番近い環の作るCosθがこの値より大きくなければ中心軸方向からの観測はできません。なぜなら環が凸レンズの範囲を越えてしまうからです。この値を満足させるには、2本のアームの長さの差が十分大きい値を持つ必要があります。Cosθは10のマイナ ス5乗のオーダーですから大雑把に言って、波が波長×10の5乗個以上の長さの往復光路差を持たせないと干渉縞は観測視野に入らないことになります。もし2dが波長×10の5乗個丁度であればCosθ=99999/100000=0.99999でまだレンズの範囲に入りません。この実験で の光線の波長は6×10のマイナス7乗であるから、この差は2dが0.03mである場合に相当します。上の説明が解りにくければ(2n-1)/2n=0.9999913となるnを求めそれに光線の波長を乗じてください。0.035mとなり上記の説明にほぼ一致します。実験で使われた光線の干渉性が悪く、 数十μmの光路差以内でないと、干渉縞が見えないとされていました。数十μmがdのことを意味すると考えると波100個単位以下に該当しますから更に観測視野外に環が存在することになります。
上記の説明ではビームスプリッター(以下B.S)が光の方向に対して45°、2つの反射鏡は光の方向に対して90°を保たれていると仮定しました。その結果見える干渉縞は円形になります。もし反射鏡またはどれかが少し既定の角度よりずれていると干渉縞は環にならず縦縞になります。この場合はどうなるかまとめ2以降で述べていきます。
以上